大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和34(オ)192 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人中村喜一の上告理由第一点、第二点について。

原判決が、被上告人らの被相続人Dのなした所論解約申入後、ことに六箇月の申

入期間経過後に生じた事由をも加えて正当事由がある旨判断していることは、所論

のとおりであるが、右Dおよびその訴訟承継人である被上告人等が、右申入期間の

満了した昭和二三年五月二日以後も、引き続き本件訴訟を継続して本件家屋明渡の

請求をして来たものであり、しかも原審口頭弁論終結当時においては、原判示諸事

実が存在し、その存在するに至つてから既に六箇月を経過していることも記録上う

かがいうるから(もつとも、原判示昭和三三年三月末ごろ原審控訴人Eが二戸建長

屋一棟、三戸建長屋一棟を建築したことなどのように、その時から右口頭弁論終結

までに六箇月を経過していないものもあるけれども、それは多くの事情中の一にす

ぎず、これを除外しても原判決の結論にはなんら消長を来すものとは認められない

から、この点に関する違法は、原判決の主文に影響を与えるものではない。)結局、

被上告人等は、解約申入によつて本件家屋の明渡請求権を有するに至つたものと認

められる(当裁判所昭和二七年(オ)第一二七〇号、昭和二九年三月九日第三小法

廷判決、民集八巻六五七頁参照)。

なお、論旨(第二点後半)は、原審は上告人側の事情を無視して判断したと主張

するが、原判決及びその引用する第一審判決には、所論違法のかどを認めるに由が

ない。

されば、論旨はいずれも採用するを得ない。

同第三点について。

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原判決は、上告人のなした昭和二三年五月三日以降同二九年九月三〇日まで一箇

月四五円の割合による家賃としての弁済供託を、被上告人等に対する本件損害金の

一部支払と認めた第一審判決を不当としつつ、上告人のための不利益変更禁止の原

則上、右供託金相当額を控除した損害金の支払を命じたものであることは、判文上

明らかである。論旨は、原判決を正解しないことに基づくものであつて、適法の上

告理由とは認めがたい。

同第四点について。

本件賃貸借の解約について、正当事由があるとした原判決及びその引用する第一

審判決の認定は、挙示の証拠ならびに原判決が確定した事実関係から肯認しうる。

論旨は、畢竟、原審の適法にした事実認定或はそれに基づく判断を非難するに帰す

るものであつて、採用しえない。

同第五点について。

被上告人等の本訴損害金の請求は、それぞれ二分の一の割合で求めているものと

認められる旨の原判決の理由説示は首肯しうる。また右損害金請求権についての持

分の割合を認定するに当り、被上告人等の本件家屋の共有持分の割合について、原

判示は一見所論登記簿抄本のみをその認定資料としているような咸を与えないでも

ないが、本件記録に徴すれば、右抄本が被上告人等の本訴承継申立書に添付された

書類であること、右申立書の副本が上告人にも交付されていること、上告人が第一

審昭和二九年二月一六日の口頭弁論期日に右承継の事実を認める旨陳述しているこ

と、その他弁論の全趣旨から右共有持分を認定した趣旨であることがうかがいうる

ので、原判決には所論のような違法があるということはできない。�

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第三小法廷

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裁判長裁判官 石 坂 修 一

裁判官 河 村 又 介

裁判官 垂 水 克 己

裁判官 五 鬼 上 堅 磐

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